ITを活用したイノベーションとアウトソーシング
以前のエントリーでもちらっと紹介したが、モノ作りの世界では、「デザイン思考」を活用したイノベーションが注目されている。
デザイン思考とは
自分が普通に暮らしている日曜世界を他者の目で眺め、新しいアイディアが思いついたらそれを表現する構成を考えて更に最終的なスタイルを決定する
と定義されている。これまでシックスシグマという問題解決の手法を活用して発展したきたGEも「CENCOR」というデザインコンセプトを打ち出しているらしい。
CENCORとは顧客が商品やサービスを利用している時の「物語」が提供出来ているかという考え方の商品・サービス開発手法らしい。
Calibrate:観測・観察(現場での顧客の観察)
Explore:探求(価値感の探求)
Create:仮説構築・デザイン(多くのプロトタイプとコンセプトと設計)
Organaize and Realize:市場での検証(なるべく多くの商品やサービスを出して市場の反応を見る)
又、イノベーションで有名なアメリカのデザインファーム(最近はイノベーションファームとも言えるらしい)IDEO社もおなじようなアプローチで数々の革新的な商品やサービスを産み出している。
ITの世界においては、Webサイトデザインの世界では比較的活用されている考え方である。
これらの考え方に共通しているのは
・異能の協働(独創的な発想をたくさん出す)
・考える前にたくさん作る(プロトタイプ志向)
・顧客の声を聞くのではなく、顧客の価値感を取り込む
・商品やサービスを使う際の「物語」を作りこむ
といった辺り。簡単に言えば「Just Do It!」といったところだろうか。
ピンと来る方は来ると思うが、アジャイルなシステム開発手法にも非常に通じる所があるように思える。
アジャイルなシステム開発手法もそうだが、「企画するヒトと作るヒト」というのは基本的には一体化しているという点が重要なポイントで、ユーザー側もはっきりとニーズ(要件)が分からないような状況においてはこのようなアプローチは有効に機能するだろうということ。
ここまで来てようやくタイトルの話に入れるが、実際にアメリカでもアジャイル手法を取り入れてオフショアアウトソースを止めたという例もあるように、アウトソースを活用することは「コスト削減・効率化」にはとても寄与するが、「ITを活用したイノベーション」を引き起こすためにはまったく別のアプローチが必要になるということ。
ユーザー企業には「IT企画人材」が必要だと言われて久しいが、私の感覚では「プロトタイプを自分で作れないIT企画人材」の価値がどれだけあるのかはとても疑問である。
外部ベンダーに「下流工程」と称して仕事を出すのはよいが、「上流特化」なんて言っているといつまでたっても経営が求める「ITを活用したイノベーション」にはたどりつかないのではないだろうか。
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